from Durch Leiden Freude



けたたましい携帯の着信音。

あれから、落ち着いたと思ったら今度は涙が出てきて、
泣いて泣いて、ようやっと寝付いたのが朝の5時。

今…は、7時………?

「は…い」

『日野ちゃん?!』

「あ、天羽ちゃ…。早いね、どうし…」

『いいから!早く、早くニュースつけて!』

ニュース………?

 

 

 

「ドイツ行き航空機、日本人の少年によるハイジャックが行われた模様。乗員乗客の安否は不明。なお、日本人乗客は現在確認中となっており―――」

 

 

 

目の
前が
真っ暗に
なって

 

 

 

「日野!」

「日野先輩っ………」

あれから、みんながうちに集まってきた。

「まだ月森くんがやったとは限らないよ!」

「そうだぜ日野、あいつは絶対………」

そう言ってくれるみんなの目も、不安で染まって、今にも泣きそうで。

「でも、時間と人種と年齢から考えて、月森くんがやった可能性は………」

「………!ああ、もう!早く犯人の確認してよ!こんな時に迅速に対応できなくて、何が報道よ………っ」

「天羽先輩…。犯人が少年では、氏名は公開されませんよ。『少年A』としか…」

志水くんの的確なツッコミに、私たちは俯いた。

ピリリリリリ…

「電話…」

「誰…?」

「あっ、僕だ。………王崎先輩?はい、もしも………はい?えっ………。本当に?!あっ、今日野さんに代わりますから、直接…はい。日野さん、王崎先輩から!」

加地くんに電話を渡されて、私は恐々と受け取る。
何?
月森くんの…こと?

『日野さん?連絡が遅くなってごめんね。皆心配してると思って。………今、月森くんと無線で連絡を取ってね。【ムシャクシャしてやった、今は後悔している】そうだよ。おれが説得して、ハイジャックなんて馬鹿なことはやめさせたから、もう大丈夫』

「ネゴシエーター王崎」

~完~