可愛いよ
 焦らさないで
 愛しているよ
 想っているよ
 一緒にいたいな

「えー………と」

「ふふっ、これでいい?」

加地は褒められるのを待っている犬のように落ち着かない様子で、ペンを置いた。

「これは…その、加地くん作文というより…」

「そうだよ、香穂さん作文だね」

「も、もっと加地くん自身のこと書いて欲しかったな…」

「僕自身?そうだなぁ、僕自身。叶わない、じれったい、暑苦しい…」

加地があからさまに沈んでいくのがわかる。

「わーわーわー!なんでそうなるのよっ!自分のことになった途端ネガティブになって!」

「僕は香穂さんのことだけに関しては前向きだから」

慌てる香穂子に、今度はにっこり笑う加地。

「僕のことなんてどうでもいいから、今度は違う言葉で作文を作らせてよ。君のことに関しては、僕、語彙が尽きないから」

香穂子の耳元で囁いて、加地は再びペンを握った。